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診療部の紹介

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消化器内科

診療カレンダー

 
消化器内科   1診 津田 井口・境 三木(生) 津田・徳山 山本(佳)
  2診 飛松 坂本 飛松 櫛田 坂本
  3診 山本(佳) 坂井 澤井 津村 三村
  4診 北村

概要

消化器癌の診断(早期診断と病期診断)と治療(癌化学療法・内視鏡治療・エコー下治療)の臨床的展開

当科を受診される方へ

兵庫県立がんセンター消化器内科では、消化器癌の早期診断と内視鏡的粘膜下層剥離術・超音波ガイド下治療などによる臓器温存治療を目指しています。また手術が難しい進行がんに対して全身化学療法を中心とした抗癌治療を行っております。
また、標準的治療の確立していない領域や病態・治療法においては、倫理的に十分な配慮を払いつつ標準治療確立のために臨床試験を行っています。ご協力をお願いすることもあろうかと思います。担当医とよくご相談ください。

当科を受診される方へ

特徴・特色、診療実績

NBI搭載内視鏡システムを5台常設しており、食道癌・胃癌・大腸癌の早期診断と内視鏡的治療の積極的な導入を行なってきた。食道癌は200病変、胃癌は800病変を越える症例に対し、積極的に内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)を行ってきた。食道癌には3cm以上、M3.SM1癌へESDの適応拡大を行い、内視鏡治療+放射線化学療法による食道温存を試みている。胃癌はITナイフの導入によりリンパ節転移が殆どないことを前提に3cm以上の、潰瘍を伴う癌、SM1癌、への適応拡大を図っており、最長10年を越える症例を含めて、適応拡大症例に再発はない。
一方進行食道癌、胃癌、大腸癌に対して積極的に抗がん剤による化学療法を行い、数多くの延命症例を経験し外来化学療法も積極的におこなっている。食道癌においては化学放射線療法を導入し、非外科的切除での完治例も多数例経験しており臓器温存治療の有用性を確認している。さらに肝癌においては外科・放射線科とタイアップして病期の判定と治療をすすめている。経皮的肝エタノール注入療法・ラジオ波焼灼療法・経カテーテル的肝動脈塞栓療法・動注化学療法・粒子線治療・肝切除を病態にあわせて行い、500例を超える症例に完治・良好な延命を図っている。膵癌は予後不良の疾患であるが新規抗がん剤を含む多剤併用療法により延命効果増強に努めている。

今後の展望

JCOG(Japan Clinical Oncology Group)やWJOG(West Japan Oncology Group)で活発に活動している。引き続き本邦での内視鏡的治療の適応拡大や抗がん化学療法の標準治療の確立を目指していきたい。

紹介元の先生方へ

兵庫県立がんセンター消化器内科では、最先端の医療機器を駆使し、消化器癌の早期診断と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)・超音波ガイド下治療などによる臓器温存治療を目指しています。また手術が難しい進行がんに対して、全身化学療法を中心とした抗癌治療を行っております。
また、本邦における消化器癌の標準的治療の確立のため、倫理的に十分な配慮を払いつつ臨床試験を行っています(現在、早期胃癌に対するESDの安全性・妥当性に関する試験、進行食道癌・胃癌・膵臓癌・大腸癌に対する内科治療に関する試験が進行中です)。ご協力をお願いすることもあろうかと思いますがよろしくお願い申し上げます。

トピックスなど

診断面では、特殊光観察(N BI)+拡大内視鏡を食道・胃・大腸病変へ応用し、小腸領域に対し小腸ダブルバルーン内視鏡検査を行っている。また新たに超音波内視鏡(コンベックス式)を用いた穿刺術による生検診断を導入しており、粘膜下腫瘍や膵腫瘍および消化管近傍の腫瘤など従来アプローチできなかった部位から病理組織を得ることが可能となった。治療面では食道癌患者の食道温存を目的とした内視鏡治療+α(内視鏡的治療先行後治療として化学放射線療法)や化学放射線療法の積極的な導入さらに化学放射線療法後再発に対する内視鏡的治療、ITナイフによる胃癌の内視鏡的治療の適応拡大、膵癌に対する放射線化学療法、肝癌のラジオ波治療・粒子線治療、消化管リンパ腫の非外科的治療など様々な消化器領域において、非外科的治療を多くの症例で経験し、臓器温存を図っている。最近は数多くの進行消化器癌に対する抗がん剤治療の臨床試験を行い、化学療法の標準化を図っています。また食道癌術後の合併症である吻合部狭窄に対して、臨床試験を行い、よりよい治療法の確立を目指しています。

スタッフ

スタッフ 資格等 主な所属学会
井口 秀人
副院長(診療担当)
消化器内科部長
1975年卒
日本内科学会認定医 日本内科学会
日本消化器病学会学術評議員・
指導医・専門医
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会学術評議員・
指導医・専門医
日本消化器内視鏡学会
日本消化管学会学術評議員・専門医 日本消化管学会
津田 政広
部長(内視鏡・超音波担当)
消化器内科部長(診療科長)
1991年卒
日本内科学会総合内科専門医 日本内科学会
日本消化器病学会指導医・専門医 日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器内視鏡学会
がん治療認定医 日本癌治療学会
  日本臨床腫瘍学会
  日本肝臓病学会
  日本胃癌学会
  日本糖尿病学会
日本静脈経腸栄養学会
日本緩和医療学会
三木 生也
消化器内科医長
1997年卒
日本内科学会認定医 日本内科学会
日本消化器病学会指導医・専門医 日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器内視鏡学会
胃腸科認定医 日本消化管学会
がん治療認定医 日本癌治療学会
ピロリ菌感染症認定医 日本ヘリコバクター学会
  日本臨床腫瘍学会
日本胆道学会
日本脺臓学会
日本消化管学会指導医・専門医
山本 佳宣
消化器内科医長
1998年卒
日本内科学会総合内科専門医 日本内科学会
日本消化器病学会専門医 日本消化器病学会
日本内視鏡学会専門医 日本消化器内視鏡学会
  日本癌治療学会
日本食道学会
日本胃癌学会
飛松 和俊
消化器内科医長
1999年卒
日本内科学会認定医 日本内科学会
  日本消化器病学会
  日本消化器内視鏡学会
  日本糖尿病学会
  日本癌治療学会
  日本食道学会
坂本 岳史
消化器内科医長
2001年卒
日本内科学会認定医 日本内科学会
日本消化器病学会専門医 日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器内視鏡学会
日本癌治療学会
がん薬物治療指導医・専門医 日本臨床腫瘍学会
日本肝臓病学会専門医 日本肝臓病学会
日本胃癌学会
日本食道学会
日本超音波医会
がん治療認定医
津村 英隆
消化器内科医長
2002年卒
日本内科学会認定医 日本内科学会
日本消化器病学会専門医 日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器内視鏡学会
日本臨床腫瘍学会
日本肝臓学会専門医 日本肝臓病学会
がん治療認定医 日本癌治療学会
日本胆道学会
日本膵臓学会
櫛田 早絵子
消化器内科医長
2003年卒
日本内科学会認定医 日本内科学会
日本消化器病学会専門医 日本消化器病学会
日本内視鏡病学会専門医 日本消化器内視鏡学会
日本癌治療学会
日本糖尿病学会
三村 卓也
消化器内科医長
2003年卒
日本内科学会認定医 日本内科学会
日本消化器病学会専門医 日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器内視鏡学会
日本臨床腫瘍学会
がん治療認定医 日本癌治療学会
坂井 文
消化器内科医長
2003年卒
日本内科学会認定医 日本内科学会
日本消化器病学会専門医 日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化器内視鏡学会
日本臨床腫瘍学会
がん治療認定医 日本癌治療学会
日本肝臓病学会
日本胆道学会
日本食道学会
日本胃癌学会
澤井 寛明
消化器内科医長
2005年卒
  日本内科学会
  日本消化器病学会
  日本消化器内視鏡学会
  日本食道学会
北村 悟
消化器内科フェロー
2010年卒
日本内科学会認定医 日本内科学会
  日本消化器病学会
  日本消化器内視鏡学会
境 秀樹
消化器内科フェロー
2010年卒
  日本内科学会
  日本消化器病学会
  日本消化器内視鏡学会

標準治療と治療成績

はじめに

 兵庫県立がんセンター消化器科では、早期消化器癌の診断と治療、手術不能・再発消化器癌に対する抗癌剤を中心とした化学療法を主として行っています。
具体的には、消化管癌(食道癌・胃癌・大腸癌)に対する内視鏡的治療・食道癌や膵臓癌に対する化学放射線療法・進行消化器癌(食道癌・胃癌・小腸癌・大腸癌・膵臓癌・胆道癌・肝臓癌)に対する全身化学療法です。早期癌であっても内視鏡的治療・超音波下治療が困難な病態やこれらの治療で治癒が望めない症例、一方進行癌であっても手術可能な症例や、化学療法後腫瘍の縮小が得られ手術可能となった症例は、消化器外科に外科的治療をお願いしています。このように、内科・外科・放射線科で連携することによる集学的治療に努めています。
消化器癌化学療法 食道がん:

はじめに

消化器癌化学療法

食道がん: 術前化学療法
根治的化学放射線療法
切除不能進行再発がんに対する化学療法
胃がん: 切除不能進行再発がんに対する化学療法
大腸がん: 切除不能進行再発がんに対する化学療法、術後補助化学療法
胆道がん: 切除不能進行再発がんに対する化学療法
膵臓がん: 化学放射線療法、切除不能進行再発がんに対する化学療法、術後補助化学療法
肝臓がん: 肝動脈化学塞栓療法(TACE)、局所凝固療法(PEIT,RFA)
その他の消化器がん: 小腸がん、消化管原発神経内分泌腫瘍、肛門がんなど

消化器癌内視鏡治療

食道がん: 早期食道癌内視鏡的粘膜切開剥離術
内視鏡的食道拡張術
胃がん: 早期胃癌内視鏡的粘膜切開剥離術
大腸がん: 内視鏡的大腸ポリープ切除術
内視鏡的大腸腫瘍粘膜切開剥離術
胆道がん: 内視鏡的胆管ドレナージ術
膵臓がん: 内視鏡的胆管ドレナージ術

当院ではそれぞれのがんに対する標準的化学療法を行っています。また消化器がんの新しい治療法の開発を行うため、多施設共同研究グループである日本臨床腫瘍グループ(JCOG)や西日本がん研究グループ(WJOG)などに参加し、臨床試験を活発に行うことで、よりよい治療の確立に貢献するようつとめております。来院された患者様には現在の病状や、治療法の選択肢について時間をかけて納得がいくまでお話をします。そのうえで、患者さんにとってベストな治療法を一緒に考えていきます。少しでも多くの患者さんに少しでも早くかつ安全に治療を開始できるようにするため、治療導入は短期間入院で行い、基本は外来にて抗がん剤治療(外来化学療法)を行っています。これはがんに対する内科的治療は、継続することが重要であるため、患者さんの生活に配慮し、できるだけ普段に近い生活がおくれるように、つまり患者さんのQOL(生活の質)を考慮しているためです。患者さんが安心して治療を受けられるように、ご自宅に近い病院や医院との連携に取り組んでいます。また同時にがんに伴う症状に対する治療や緩和ケアへの移行のサポートも積極的に行っています。

 各がん種の化学療法の診療実績として、新規化学療法導入を行った患者数、および外来化学療法治療数(のべ数)を下に示します。

消新規化学療法導入患者数
  2006年 2007年 2008年
食道がん 42 63 29
胃がん 60 52 65
大腸がん 40 45 36
膵・胆道がん -15 -25 -23
外来化学療法治療数(点滴のみ)
  2006年 2007年 2008年
食道がん 30 63 53
胃がん 576 808 596
大腸がん 885 903 962
膵・胆道がん 300 347 420
その他 101 134 167
1,892 2,255 2,134

*経口内服薬(TS-1)は含まれておりません

標準治療・治療成績について

診断面では、特殊光観察(N BI)+拡大内視鏡を食道・胃・大腸病変へ応用し、小腸領域に対し小腸ダブルバルーン内視鏡検査を行っている。また新たに超音波内視鏡(コンベックス式)を用いた穿刺術による生検診断を導入しており、粘膜下腫瘍や膵腫瘍および消化管近傍の腫瘤など従来アプローチできなかった部位から病理組織を得ることが可能となった。治療面では食道癌患者の食道温存を目的とした内視鏡治療+α(内視鏡的治療先行後治療として化学放射線療法)や化学放射線療法の積極的な導入さらに化学放射線療法後再発に対する内視鏡的治療、ITナイフによる胃癌の内視鏡的治療の適応拡大、膵癌に対する放射線化学療法、肝癌のラジオ波治療・粒子線治療、消化管リンパ腫の非外科的治療など様々な消化器領域において、非外科的治療を多くの症例で経験し、臓器温存を図っている。最近は数多くの進行消化器癌に対する抗がん剤治療の臨床試験を行い、化学療法の標準化を図っています。また食道癌術後の合併症である吻合部狭窄に対して、臨床試験を行い、よりよい治療法の確立を目指しています。

●食道癌について

早期食道癌の内科的標準治療は内視鏡的治療である。粘膜中層までの癌で、周在性3/4以下のものはEMR/ESDのもっともよい適応であり、粘膜深層―粘膜下層の癌も相対的適応としている。最近では72例のESDを行い、粘膜中層までの癌に関しては保存的に、粘膜深層―粘膜下層癌には化学放射線療法を追加することで、良好な成績が得られており、ESD導入後全例長期にわたり無再発生存中である。なお合併症は穿孔1例、縦隔気腫症3例を経験したが、いずれも保存的に治癒している。
進行食道癌は化学放射線療法(5FU+CDDP+RT)が内科的標準治療である。二次治療には標準治療が確立していないがドセタキセル(+ネダプラチン)を試みている。89例の進行食道癌に対する成績は、生存期間中央値22.5ヶ月、1年生存率76%、2年生存率46%であった。

●胃癌について

早期胃癌の内科的標準治療は内視鏡的治療である。当科では2000年よりESDを導入しており、その適応を分化型癌を対象とし、[1]粘膜内癌、潰瘍なしであれば大きさにかかわらず [2]粘膜内癌、潰瘍あり、3cm以下 [3]粘膜下層浅層癌、3cm以下を拡大適応の対象としている。
ESD施行後1年以上経過した356例では上記の拡大適応症例においても遠隔転移例はなく遺残再発例は1例のみで、良好な予後を得ている。
進行胃癌は化学療法が標準治療である。最近は経口摂取可能例にはTS1+CDDPを一次治療の標準的治療としている。可能な症例には二次治療は主としてCPT11(+CDDP)またはweekly PTXを、三次治療としてそれらのクロスオーバーないしドセタキセルを試みている。一方、経口摂取不能例には一次治療としてMTX+5FUまたは5FU単独治療を、二次治療としては主としてweekly PTXを試みている。進行胃癌218例に対する成績は1年生存率:26.1%、2年生存率:8.5%、3年生存率:2.1%であり、著明な延命効果が得られている。

●大腸癌について

大腸腺腫および早期大腸癌には内視鏡治療が標準治療である。粘膜下層1000μまでで脈管侵襲のない、先進部高分化型癌を適応としている。年間200件の内視鏡的治療を行い、20件の早期大腸癌を治療しているが、前述の適応早期癌では、遠隔転移例はなく良好な成績を得ている。
進行大腸癌に関しては、一次治療はFOLFIRI(+ベバシズマブ)またはFOLFOX(+ベバシズマブ)であり、選択可能な病態であれば、原則的に、有害事象の特性を十分説明下上で患者選択としている。二次治療はこれらをクロスオーバーしている。最近、セツキシマブが保険適応となり、三次治療としてセツキシマブ(+CPT11ないしFOLFIRI)を導入している。肝転移例に対しては化学療法後腫瘍の縮小が得られ手術可能となった症例も経験している。FOLFIRI,FOLFOX導入以降の進行大腸癌71例の成績は、生存期間中央値は22.9ヶ月、1年生存率74.3%,2年生存率43.4%,3年生存率18.8%であり、著明な延命効果が得られている。

●膵臓癌について

消化器科での治療対象は進行膵臓癌で、手術不能な局所進行癌と遠隔転移例が対象である。局所進行癌は一次治療に5FU+放射線療法、二次療法にジェムザールを行っている。また遠隔転移例に対しては、一次治療としてジェムザールまたはTS1またはジェムザール+TS1を行い、二次治療はクロスオーバーした治療を行っている。局所進行癌21例の成績は、生存期間中央値12ヶ月、1年生存率42.9%であり、遠隔転移例65例では生存期間中央値6.5ヶ月、1年生存率12%であり、抗癌剤、放射線療法の導入により予後の改善が見られている。

●肝癌について

肝癌は他の癌と異なり、病期だけでなく肝機能が予後に大きな影響を与える。肝癌の治療は外科、放射線科、粒子線センターと連携し、ラジオ波焼灼療法・経皮的肝エタノール注入療法・経カテーテル的肝動脈塞栓療法・動注化学療法・粒子線治療・放射線療法・肝切除を、症例ごとに病期、肝機能に応じ、かつ各治療法の合併症も考慮した上で行っている。当科入院肝細胞癌初回治療症例(91~04年:416例)の5年生存率はTNM分類でI期80%、II期 75%、III期 58%、IV期 28%である。当院は平成20年11月に兵庫県肝疾患専門医療機関として選定され、地域のかかりつけ医と連携しながら、肝疾患の切れ目のない治療体制の確立を目指している。

2010年8月